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2019.05.28妻認知症、長男引きこもり、自らは鬱病の82歳男性が見た“この世の地獄”…

事件後、自宅から見つかったメモには悲痛な心の叫びが書き残されていた。大阪府枚方市で3月、無職男性(82)が認知症の妻=当時(73)=を電気コードで絞殺し、自身も自殺を図ろうとする痛ましい事件が起きた。殺人罪に問われた男性は、次第に記憶を失っていく妻と、10年以上引きこもる鬱病の40代長男の世話を一人で抱え込み、自身も鬱病を発症した結果、「心中するしかない」と思い詰めたという。大阪地裁は6月、男性に執行猶予付きの有罪判決を言い渡したが、悲劇はなぜ防げなかったのか。
男性と妻はいつも一緒にいる仲むつまじい夫婦。唯一の悩みは同居する鬱病の長男だった。そんな老後の暮らしに異変が訪れた。
あるとき妻の告げられた病名は認知症だった。男性は医師から「もう治りません。奥さんを3歳児だと思って接してあげてください」と言われたという。
男性はその日から、日常生活がままならなくなった妻と、部屋に引きこもる長男の世話に追われた。昼は近くの診療所まで妻をリハビリに連れて行き、帰宅後は妻と長男のため風呂や食事の支度をした。
間もなく80代の体と心は悲鳴を上げた。夜になっても眠れず、手の震えが止まらない。鬱病の症状だった。
男性はやがて「自分が死んだら妻の面倒を見る人がいない。妻を殺して自分も死のう」と決意。長男に3千円を持たせて買い物に行かせた後、妻と2人きりになった自宅で、テレビを見ていた妻の首を背後から電気コードで締めた。直後に自宅を飛び出し、近くの公園で首や手首を包丁で切って自殺を図ったが、公園関係者に発見され、死にきれなかった。
5~6月に大阪地裁で開かれた裁判員裁判では弁護側、検察側の双方が、犯行時の男性の精神状態を、判断能力が著しく低下した「心神耗弱状態だった」と主張。地裁も心神耗弱を認め、男性に懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役6年)を言い渡した。
男性は妻が認知症と診断された夜、長男の部屋に行き、「お父さんとお母さんを助けてくれ」と泣きながら訴えた。ところが、長男は押し黙ったまま何も答えなかった。男性は傷ついた心を慰めてくれる相手すらいないことに絶望し、誰にも助けを求めないまま、社会から孤立していった。

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